女性ホルモンが減ると視床下部が疲弊する!?(OurAge)




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出典元: 自律神経のトータルパワーが落ちていくのも、毛細血管が減っていくのも、視床下部自体の老化が一因かも…

女性にとって40代以降の女性ホルモンの激減は大問題。健康にさまざまな影響が出てしまうが、実は脳の一部「視床下部」もその影響をしっかり受けるという。

「視床下部はホルモンのコントロールタワーです。視床下部には体のどの部分がどんなホルモンを必要としているかの情報が集まってきます。その情報をもとに、下垂体にホルモン分泌の司令を出すホルモンを出します。司令を受けた下垂体は全身の内分泌器官にホルモンを出すように促すホルモンを出します」

そう教えてくれるのは、根来秀行教授だ。ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授など多くの大学で活躍。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、最先端の臨床・研究・医学教育の分野で国際的に活動している。

視床下部を中心にホルモン同士が、まるで伝言ゲームをしているようにも思える。相当情報が錯そうしているようだが、伝える場所を間違うことはないのだろうか?

「受け取る側の各内分泌器官には、伝達に来たホルモンだけを認識する受け皿(受容体)があるから、不要な場所で働くことは基本的にありませんし、微量でもしっかり情報を伝達できます。ホルモンの量が過剰になると、その情報が各器官から下垂体、視床下部へとフィードバックされ、分泌が抑制されます。だから、ホルモン剤をとり続けると本来の分泌が抑制されるんです」

根来教授は、ホルモン補充療法に慎重な立場をとっている。その理由のひとつもそこにあると言う。

「はい、そうです。ホルモンを運ぶのは毛細血管の役目ですが、その道のりを交通整理しているのが、視床下部に中枢がある自律神経です。ホルモン、自律神経、毛細血管は、全部視床下部の支配下にあるのです。

視床下部自体の老化についてはまだよくわかっていませんが、加齢と共に機能低下が免れないのは自明の理。40代以降はホルモン分泌が低下しますし、自律神経のトータルパワーが落ちていくのも、毛細血管が減っていくのも、視床下部自体の老化が一因かもしれません。ただフィードバック機構を利用して、ホルモンや自律神経を整えることで、視床下部を安定させることはできるはずです」

しかし、アラフィフ女性は、女性ホルモンのエストロゲンが急減して、自律神経も乱れがち。更年期女性の視床下部にかかる負荷は、大きいのではないだろうか?

「そうです。というのも視床下部は進化的に古くからある脳で、不安や怒りといった原始的な情動の中枢でもあり、ストレスに敏感なんですよ。実際、ストレスを受けると視床下部が反応して、下垂体と副腎からのストレス系ホルモン分泌が促進され、心拍数の増加、血圧の上昇、食欲の低下などが生じます」

ストレスを受けて、パニクったり、テンパったりするのは、視床下部による脳の原始的な反応というわけだ。「過度なストレスは、視床下部を疲弊させ、機能低下につながるので、ストレスケアが肝腎です」と根来教授。視床下部の老化防止にも、ストレス対策が肝要ということらしい。

取材・文/石丸久美子 イラスト/浅生ハルミン