脳の“命の座”の中核、「視床下部」が老化の鍵を握っている!?(OurAge)




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出典元: 脳の司令塔「視床下部」は間脳の中核を占める

最近、とみに注目度が上がっているのが「脳」。最新研究によって、謎とされてきた脳の働きが徐々に解明されてきている。

「ひとくちに脳と言っても広いので、まずは『視床下部』から説明していきましょう。床下部は脳の奥にある間脳の一部です。アーモンド粒大のごく小さな器官ですが、生命維持の中枢を担っています。

脳は大脳、小脳、脳幹からなり、視床下部は「脳幹」にあります。脳幹は大脳と脊髄をつなぐ柱のような組織で、脳幹が損なわれると、心臓や呼吸の活動など、命を維持する活動が困難になるため、『命の座』ともいわれます」

そう解説するのは、根来秀行教授。ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授など多くの大学で活躍。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、最先端の臨床・研究・医学教育の分野で国際的に活動している。

「脳幹は文字通り脳の根幹を為す部位です。その脳幹の中でも、人体の恒常性保つうえで核になる働きをしているのが視床下部なんです。右脳と左脳の中間に位置しているので、視床、下垂体と共に『間脳』と呼ばれます」

視床下部は“命の座”の中核と言える。

「視床下部は自律神経とホルモンをコントロールして、自分の意志で制御できない内臓や血管、内分泌腺などを自動的に働かせます。おかげで、血圧、血糖値、体温、脈拍などが無意識のうちに調整され、体の均衡を保つホメオスタシス(恒常性)が維持されるのです」

根来教授によれば、最近、この視床下部が全身老化の一因になっていることが明らかになってきたそうだ。

「2017年に科学雑誌『ネイチャー』で発表された中齢のマウスを使った実験では、健康な視床下部幹細胞を失うと老化が加速して早死にし、逆に健康な視床下部幹細胞を移植すると老化が遅くなり、寿命が延びたのです。

これがそのまま人にも当てはまるかどうかは、さらなる研究が必要です。しかし、自律神経とホルモンという二大制御機構を司り、体が本来持っている機能を最善に保つ中枢である視床下部が、老化速度の鍵を握っていることは間違いありません」

取材・文/石丸久美子 イラスト/浅生ハルミン